SHORT U | ナノ

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順調に滋賀、奈良の公演を終えて26日。もうすぐ日付が変わろうとしていた。

みんなは健太のお誕生日サプライズで、ホテルの部屋前にスマホ片手に移動。

一番後ろにいた朝海ちゃんとゆき乃さんに手招きされる。

みんな忙しくてまともに話す時間がなかったから、陸ちゃんとのこと、LINEで二人には伝えただけで。



「マイコさん、おめでとうございます!」
「ほんとに、おめでとう。よかったね!」



朝海ちゃんとゆき乃さんの言葉に照れ笑い。改めて言われると、照れるけどやっぱり嬉しい。二人には色々話したい事が沢山あるけど、陣くんが時計を見て「あ、あと10秒!みんな行くで。」シーって小さくカウントダウンを始めた。

不意にキュって左手が掴まれて。え?見上げたそこには陸ちゃん。

他のメンバーに気づかれないように指先だけちょこっと触れてるそれにドキッとする。

陣くんのカウントダウンに合わせて「ゼロ、健太おめでとう!!!」ドアを開けてみんなが一斉に入って行く中、廊下で私に触れるだけのキスをくれた陸ちゃんが、「マイコおめでとう。出逢ってくれてありがとう。」―――その言葉だけで、一生幸せに生きていける気がしたなんて。

みんなが健太のお祝いをする中、私はもう涙を堪えるのに必死で。輪の中で健太にハッピーバースデーを歌う陸ちゃんの声だけが耳に入ってくる。

だけど。



「ハッピバースデイーDear KENTA&MAIKO♪」



視線は私にも注がれて。



「マイコさーん、おめでとうっ!!!」



メンバーみんなが私に向かって拍手をくれる。嘘でしょ!



「やだ、ズルい。...」



ありがとうって言いたいのに涙が溢れて言葉にならなくて。顔を隠す私を両サイド、朝海ちゃんとゆき乃さんがポンっと肩を叩く。



「ずるいよ、こんなの。」
「みんなマイコのこと、大好きなのよ、ね、朝海ちゃん!」
「そうですよ!マイコさんありきのRAMPAGEです!ね!健太?」
「うん、その通り!」



健太まで、そんなの、ほんとずるい。頭を下げる私にもう一度拍手が届いた。

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