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「あれ〜?いつからそんな泣き虫だったのかな?」
そんな声と共に、弾き終えた陸ちゃんが近づいてくる。そのまま泣きやめない私を迷うことなく抱きしめる陸ちゃんがそっと耳元で囁いたんだ。
「もしかして、俺の気持ち届いちゃった?」
ポンポンって陸ちゃんの温もりが背中に落ちる。
なによそれ。陸ちゃんの気持ちって…
うーって唸り声をあげながら陸ちゃんを見つめると、私の濡れた頬を指でそっと拭ってくれる。
「ずっと言っていいものか迷ってたんだけど、やっぱ言わずにはいられないや。――――好きだよ、マイコさん。」
…嘘でしょ!?
確かに朝海ちゃんやゆき乃さんには「付き合うのは時間の問題!」なんて言われていたけど…
「ほ、んと?」
「嘘つかないって。マイコさんの事が大好き。」
…死にそう。
「嬉しい陸ちゃん。私も陸ちゃんが大好き。」
だけどそう言うと、クスって笑った後こう続けたんだ。
「うん。わりと分かってた!」
自信満々かよ。なんて思うけど...。
「私だって薄々気づいてたもん!」
「はは、俺達両想いで、くっつくの時間の問題だってみんなに言われてた、よね?」
「そう。散々朝海ちゃんやゆき乃さんに言われてきた。現実になって、嬉しい、陸ちゃん...。」
私の頭をポンポンって優しく撫でると頬の指で唇をなぞった。途端に心臓が高鳴る。
容易に想像できる次の行動に、そっと目を閉じると、陸ちゃんの甘ったるいキスが舞い降りた――――――。
「可愛い。マイコ...」
ずるい、呼び捨てなんて。もっと呼んで、もっとして...「陸、」精一杯の勇気で彼を呼び返すと「ずっと欲しかった。」ずっとずっと陸ちゃんのものだよ。