SHORT U | ナノ

 チョコより甘い時間6

チュッて唇が触れると鳴り響くキスの音。

ナオト先生の唇は、想像以上に柔らかい。

数回触れるだけのキスをした後、距離を取るとナオト先生と目が合った。


「もっとしたい?」

「あのねぇ…」

「それとももう止める?」

「…お前、確信犯なの?」

「ナオト先生の前でだけね!」


あたしの言葉にまた口端を緩めたナオト先生。

後頭部に手をかけて、くるりと反転した。


「今日何の日だっけ?」

「バレンタイン」

「イベントの趣旨を言ってみろ」

「趣旨?好きな人に女から告白する日?」

「…で?」

「チョコレート渡して、キスしてえっちして、幸せいっぱい!」


ポカッとオデコを軽く叩かれた。

あたしを組み伏せているナオト先生からはほんのり色気が垣間見える。


「たく。それが一ノ瀬の望み?」

「はいっ!」

「じゃあ約束…」


そう言うとナオト先生は、ゆっくりとあたしに体重を乗せた。

前髪に優しく触れられてドキンと胸が高鳴る。


「先生って呼ばないこと。今は俺、お前の先生じゃなくてただの男だから。いいか…―――ユヅキ…」


キュンッて心臓鷲掴み。

そっとナオトの首に腕をかける。


「うん。ナオト…あたしのこと、受けとめて…」

「仕方ねぇから、23日間黙っててやるよ!」


あたしの誘惑に負けてくれたナオト先生。

男とヤッたことはあったけど、こんなにもセックスが心地好くて気持ち良いものだとは知らなかった。

愛されるということを、ナオトはこの日あたしに教えてくれた。

もちろん、23日間我慢したあたし達は、卒業した後堂々と腕を組んで外を出歩いている。


「ナオト、可愛い生徒きてない?」

「来ててもユヅキ以外興味ねぇよ!」

「ふふ、大好きっ!」


ふわりと抱きつくあたしをそのまま抱きしめてベッドに押し倒す。

首筋に甘いキスを落としながらシャツに手を入れるナオト。

この瞬間がめちゃくちゃ幸せ。

バレンタインの先には、チョコより甘い時間が沢山あることを、あたしだけの先生に教わりました。


*END*
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