SHORT U | ナノ

 イニシャルH4

「あ、これ可愛い…」

「ふはっ、ユヅキっぽい!これにする?」

「だめだめ、もっと全部のちゃんと見てから!」



手を繋いでIKEYAの中。

付き合って一年だから、そろそろ同棲したいねって話になって家を見つけた私達。

部屋のコーディネートをどうしようか?参考にここにやってきた。



「あのベッド可愛いなー」

「却下!」

「えっ!?」



隣を見るとどら焼き型の口をムンっと尖らせている。

直ちゃんは視線を私に向けてその可愛いらしい口を開いた。



「ベッドはダブル。俺も一緒に寝るんだから…」

「あ、そっか!つい自分の目線で見ちゃったけど…そうでした。直ちゃんがあの可愛いベッドで寝てたら怖い!」



想像したらちょっと笑える。

クスッて笑った瞬間、直ちゃんの手がまた私の胸をタッチした。



「揉むよ?」

「こらっ!ここ外!」

「んじゃキスならいい?」

「だーめ!」

「ちぇー。俺早くユヅキとイチャイチャしたいっつーの!」

「もう!今日は部屋の飾り付けでしょ?」



家具はだいたい入れて、実際もう住めるんだけど、ベッドは一緒に寝るからってダブルを買おうってそれで見に来た。



「分かってるって、あ、これは?」



ちょうど私達の目の前にあったシンプルだけど品のあるベッドが目に入る。

ふわりとその上に座る直ちゃんに、部屋の間取りがパッと浮かんでマッチした、ように思えた。



「いい!あの部屋に合う!」

「ね?俺もそう思う。これにしちゃう?もっと見る?」

「これにする!」



言い放つ私を見て笑う直ちゃん。

それから眉毛を下げて続けた。

「もっと見なくていいの?」って。

だってきっとこれ以上のものはない。

見ても変わらない!!

そこまで運命感じた。

だから私は直ちゃんの隣に座って耳元に手を当てて内緒話。



「早く買って帰って試さないと?」



直ちゃんの顔が笑顔に変わる。

目が完全エロ目になってる直ちゃんの手を引いて店員さんを呼んだ。

クリスマスのこの忙しい時期だったけど夜には配達して貰えるってことだったからラッキー。



「飯食お?腹減った」



IKEYAを出た私達はとりあえず車を走らせる。

お店はどこも混雑していたから、オードブルを買って外で食べることに。




「今夜は雪降らないだろうね」



陽が出ていて寒いっちゃ寒いけど耐えられない寒さじゃなかった。

穴場の公園を見つけてそこで私達はオードブルを並べた。

周りはカップルばっかりで誰も私達を気にしている人なんていないからか、コロンって直ちゃんが私の太股に頭を乗せる。

え、このタイミングで膝枕?

下から見上げられて何か照れる。



「ほら、いつも見下ろしてるから。見上げるユヅキはちょっとセクシーだね」



指でまたお約束のように胸を弾いた。



「もー。直ちゃん真っ昼間からオス丸出しー」

「仕方ないっしょ。今日イヴよ?」

「まぁ、去年はガッツリ仕事だったもんね。クリスマスの夜に二人で初雪見れたなんて今思うと奇跡だよね」

「今年も降ったら奇跡のカップルだな」



そう笑う直ちゃんの髪を撫でると気持ちよさそうに目を閉じたから顎をコショコショってすると目を閉じたまま「俺は猫か!?」って突っ込んだから唇を指でなぞったらそのままチュルっと吸い込まれた。

どら焼き型の口の中で、私の指をいやらしく舐める直ちゃん。

なんか、ずるい。

スルリと指を抜くとパチっと直ちゃんが目を開けた。

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