SHORT U | ナノ

 Charge2

「へ?先輩?」



放課後まで待てなくてお昼休みに亜嵐のクラスに顔を出すとあたしの顔を見て苦笑い。

ギャルになりきれていない、でも清楚な感じのメイク。

研究に研究をしてやったあたしの顔、どうだ!



「いつもの先輩のが可愛いっす」



…嘘でしょ。

だってこれ、亜嵐のタイプの顔…



「気に入らない?ギャルが濃かった?それとも…」

「うううん、そうじゃなくて。作った顔より素の方がいいって…」



…ダメか。

気に入って貰えなかったことが悲しいのか、あたしは亜嵐が寂しそうな顔をしていたことにすら気づかないで教室に戻った。

亜嵐の周りには女子も男子も集まっていて楽しそうで。

あたしを足蹴にするわけではないけど、やっぱり居心地はよくない。

あと2歳若く生まれたかった。

亜嵐の隣で肩を並べて色んなことしたかった。

悔しいな。





「あれお前なんて顔してんだ?」



亜嵐のクラスからトボトボ戻ってきたあたしを見て、同じクラスの岩ちゃんが苦笑いでそう言う。

人の顔見て苦笑いとか、マジ失礼だから。

岩ちゃんはダンス部部長で、亜嵐の直の先輩。

勿論あたしが亜嵐を追いかけていることもよく知っているわけで。



「なによ、顔がなんだっていうの?」

「いやいや。ブスだよ、その顔…」



…岩ちゃんまでそんなこと言わなくていいのに。




「うるさいな、ほっといてよ!」



亜嵐に少しでも可愛いって思われたい…

少しでも気にして貰いたい…

そう思ってやったのに、誰も何も分かってくれない。


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