SHORT U | ナノ

 Halloween night6

「ハッピーハロウィン!!」




パンパンパンパンパンッ!!

みんなで一斉にクラッカーを鳴らして笑う。

岩ちゃん宅でのハロウィンパーティー当日、吃驚するぐらい本気の仮想をしているみんな。

私とゆきみは宣言通りサンタクロースの格好をしている。

直人くんは孫悟空のコスプレ。

スーパーサイヤ人らしく、髪をスプレーで金髪にしてガッチガチに固めてある。

敬浩はパイレーツのジャック!

見事なカツラとメイクをしているけど、一体誰がやったの?ってぐらい完全体である意味近寄りがたい…。

あっちゃんはまさかのゾンビメイク。

ごめんだけど、敬浩より近寄りたくないよーそれ。

てっちゃんこそビシッと決めてくるのかと思ったらまさかのピーターパン。

グリーンがやたら似合っている。




「俺大人になりたくないんだよねー」




なんて言ってる。

私たちの中で一番大人な気がするけど。

それから岩ちゃんはっていうと……





「か、カッコイイ…」

「ほんと?」

「うん、なんでそんな格好するの?ズルイ!」

「え、ズルイって、ごめん…」




困ったような顔だけどその瞳はブルーで。

黒いマントをかけて色白の肌。

笑うと見える牙と長い爪……




「岩ちゃんになら身体の血全部吸われてもいいや私…」





こんな素敵なバンパイアなら本望だよもう!





「え?いいの?あのさユヅキ先輩。今日夜親いないの…。みんな帰った後ゆっくり血吸ってもいい?」





マントに隠れてそんな誘惑。

昨日の初キスから展開早くない?なんて思ったものの…


黙ってられない私は昨日ゆきみに電話して色々聞いてみた。

直人くんとのことを。




「直?早いとか分かんないけど。私直としか付き合ってないから。告白された日の帰りにキスされて、その一週間後ぐらいだったかなぁ…親いないって部屋に呼ばれてそのまま…。あーユヅキも女になっちゃう!ゆきみは嬉しいやら寂しいやらだよー。でも岩ちゃんなら安心!今日の岩ちゃんちょっとかっこよかったよね!」





そんなゆきみとの会話を思い出してゴクリと唾を飲み込んだ。

一週間も一日もたいして変わらないよね。

私は岩ちゃんを見上げてニコッと微笑んだ。





「ゆきみにアリバイ頼んどく」

「…うん。ちゃんと大事に思ってるから」




頬を指でなぞられて優しく微笑む岩ちゃんに、ちょっと背伸びをして頬にキスをしたら、真っ赤になって目を逸らしたんだ。

早く夜にならないかなぁ……






*END*
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