▼ 恋を、楽しもう1
始業ベルと同時に「おはよ!」フロアに駆けてきた同期の哲也と、その彼女のアサミちゃん。
「おはよー!」
「俺珈琲淹れてくる」
私の隣の席のアサミちゃんの頭をポスっと軽く撫でて、席についた瞬間立ち上がって給湯室へと移動した。
「相変わらず仲良しだねぇ!」
「はいっ!!知ってますか?今日……」
目をランランとさせたアサミちゃんがとんでもないことを言ったんだ。
首を傾げてアサミちゃんを見つめる私の耳元で小さく呟いた。
「今日ってキスの日なんですよ!直人さんと沢山キスしてください!」
……キスの日?
なんじゃそりゃ!
目をパチくり瞬きさせてアサミちゃんを見ると
頬づえをついてにっこり。
「初めてキスシーンが放送された日みたいです、だからキスの日!あたしてっちゃんともう10回もしました!」
「はっ!?マジで?」
「はいっ!」
だからいつもよりちょっと遅かったわけ?
土田め、エロ哲也め。
隣で幸せそうなアサミちゃんを見ていたらありなの?なんて思いながらも直人はそうはいかないだろって。
「てっちゃんが直人さんに言ってくれるみたいなんで、ユヅキさん達もほら、ね?」
そう言った先、珈琲片手の哲也と、マイダーリン直人が笑顔でフロアに入ってきた。
斜め前の席に座って私を見る直人。
「おはよ!」
爽やかな笑顔を飛ばした。
え、もう知ってる系?
何となく口端を緩めているエロ目の直人に、私は密かにドキッとしたなんて。