▼ 夢物語7
呼吸を整えるのに3分ぐらいかかった気分だった。
その間、隣で横向きに肘をついて寝っ転がりながら私を観察している広臣くんをジッとただ見つめていた。
フーフーって私に合わせて息を吐き出す広臣くんに呼吸の整った私が舌をチロっと差し出すと、顔を寄せて広臣くんの舌が伸びてきた。
だからスッと舌をしまうと、「え、なんで?」ムっとした顔で私を見る。
なんでって、色々悔しいから。
なーんて言わないけど。
「キスしたい?」
「うんしたい」
「じゃあはい…」
目を閉じて顔を寄せると、今度は肩を腕でガッチリとホールドされて視界が暗くなった。
ムチュって触れあうときに音が鳴って。
薄目開けると目を閉じて私にキスをしている広臣くんの顔が見えた。
…奇麗。
思わず見とれて口も止まる。
だからか、広臣くんがパチっと目を開けて「…あに(なに)?」舌を絡ませながら私を見ている。
「あんへも(なんでも)…」
「へお(エロ)…」
いいよもう、エロでも何でも。
自分の置かれた状況とか色々あるけど、それでもこの罠にハマった私はもう、抜け出せない。
ごめんね、哲也…。
私、哲也のこと裏切っちゃった…
もう戻れない…
広臣くんのキスを受けながらそんな謝罪が頭を過ぎった。
その後は夢のようだった。
昼間友達の話でも出た自分の性癖がこんなんだって初めて知った。
攻める広臣くんの上に馬乗りして自分から彼のモノを挿れこんだ。
ラッコ座りで何度もキスをした後、涎混じりの舌を胸元に移動させてそこに思いっきり紅い華を咲かせられた。
一週間ぐらい消えなさそうなその痕に、それでも快感を覚えてしまう。
一個つけられたらもう、何個つけられてもいいやって気にさえなって。
だから背中を曲げて広臣くんの鎖骨に近づいた私は、同じようにそこに紅い華を咲かせてやった。
私と同じ場所に。
「お返し」
そう言うなり、胸の突起を口に含んでお尻をいやらしく撫でまわされた。
広臣くんの上で弾むように腰を振る私を片手で支えながらも気持ち良さげに眺めている。
奇麗に割れた腹筋を指でさすりながら段々子宮の奥がこそばゆくなっていって。
無理やりキスを繰り返す私達は、吐息と喘ぎ声が混ざっている。
あーやばい、イキそう…
そう思って広臣くんを見つめると、彼も薄目でハァハァ呼吸を繰り返していて…
ゴクっと唾を飲み込んだ後「イキそ…」そう言ったんだ。
だから広臣くんの頭を抱えて「私もイっちゃいそう…」ギュっと抱きしめる。
「ユヅキさん、好き?」
「え?」
「俺のこと、好き?」
「好きよ…」
「俺も好きだよ」
「うん…」
ギュっと想いを伝えあってまた律動を速める広臣くん。
下から何度も突き上げる感覚に酔いしれて、気づくと意識を失ったのか、ベッドの上で眠りについていたのか…
―――若干の身体のダルさを感じながら目を開けたら、そこは見なれた部屋の天井だった。