SHORT U | ナノ

 シュガーラブ6

「俺直人くんがこんな厭らしいと思わなかった…」



何故かショックを受けたような敬浩くんだけど。

いやいや、男なんてそんなもんっしょ?

俺とユヅキのチュープリを見て獣扱いされてる俺。



「これ舌入ってるよね?ユヅキ、どうなの?」



ズンってユヅキに迫る敬浩くんからスッとユヅキを引き寄せる。

只今クレープ待ち。

チョコバナナを頼んだ俺に対してユヅキは苺チョコ。



「入ってたかも…。えみは?たかぼーキスうまそうだよね…?」

「…え?」

「あ、したい?ユヅキも俺とキスする?絶対ぇ直人くんより俺のがうまいよ?」



調子に乗ってそんなことを言う敬浩くんを、えみちゃんがぶっ叩いた。

クルリと振り返って「冗談だって。俺えみ一筋だし。他の女興味ねぇよ!」キリっと決め顔で言うから。



「どうだか…」



そんなことを言いながらも嬉しそうなえみちゃんが印象的だった。




「お待たせしました〜」



軽快な声で店員が俺達にクレープを手渡す。



「わぁ〜美味しそう!」



ユヅキが写メを撮ってるから俺も嬉しそうに写メを撮ってるユヅキを激写。

視線すらズレているものの、可愛さに変わりはない。



「ユヅキ、ユヅキ」



名前を呼ぶと顔を上げてこっちを見たところを再び激写して、すぐさまインスタにあげた。

#可愛い彼女とクレープ食ってます

ってタグをつけて。



「あ!あげたの?」

「え?」

「インスタ…」

「え?うん…すごいね、タイミングよく開けたの?」

「え、通知してる、直ちゃんのインスタだけ…」

「マジ!?」



しまった!って顔。

俺のだけ通知してるとか、可愛すぎだろ、マジで。



「チュープリは載せないでよ!!」



ギクってして。

自慢の彼女だからみんなに見せびらかしたい気もするけど…




「だよね…」

「絶対ダメ!」

「いや分かってる、分かってるよ」

「もう、直ちゃん危険!」

「でも好きでしょ?はい、あ〜ん」

「…ん…」



頷いたのか、食いたいのか大人しくなったユヅキは俺のチョコバナナをパクっとかじった。

想像以上に思いっきり大口開けて食ったせいでユヅキの口の周りに生クリームがついて。

これはチャンス!!

そう思ってその生クリームを舌でペロリと舐めたらやっぱりすげぇ甘かった。



「ンマッ」

「激写!!」



ニタァ〜って笑ってるのは敬浩くんとえみちゃん。



「直人くんとユヅキのチュー激写しちゃったよ。拡散してもいい?」

「俺はいいけど、ユヅキがやだって言ってる…」



そう顔に書いてある。



「でも、欲しい。ちょうだい!」

「何?待ち受けにするの?」

「ううううん。ツイッターのアイコン…」

「ブッ、お前ら本当、激甘だな〜」



敬浩くんの言葉に俺もユヅキも笑った。

仲良しのえみちゃんと敬浩くんも抜かりなくうまくいって、中間テスト初日、明日の教科が何だったすらも忘れて帰り道、公園のベンチに座ってユヅキと何度も甘いキスをした―――


俺達の青春はこれからだ。





*END*
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