SHORT U | ナノ

 シュガーラブ5

「だって、ユヅキ!どうする?付き合ってあげちゃう?」



まるで分かっていたかのよう、えみちゃんがユヅキにそんな言葉を飛ばしていて。

ユヅキはほんのり照れくさそうな顔で「いいよ」って答えたんだ。



「え、いいの?」



まさかイエスを貰えると思ってもなくて。

目をかっぴろげてユヅキを見ている俺の腕をグイっと引き寄せてユヅキがギュっとその腕に巻きついた。



「直ちゃん可愛いから好きだよ」



…―――可愛いから?

え??



「可愛くなかったら好きじゃねぇの?」

「可愛いって言ってんじゃん」

「…俺、可愛い?」

「うん!すごく。ドラヤキみたいな口とか好きだよ…」

「チューする?」



浮かれて唇をユヅキに突き出すとペシって頭を殴られた。



「しないよ、ここじゃ」

「んじゃあの中入ったらして?」



プリクラ機を指差してそう聞くと…ほんの少し悩んでいて。



「あ、チュープリって奴だな!えみ、俺達も撮ろうか?」

「…え、本気?」

「勿論!じゃなきゃわざわざここまで一緒に来ねぇよ」



えみちゃんの肩に腕を回して敬浩くんが攻める。

満更でもないって顔のえみちゃん。

でもその表情は高揚して嬉しそう。



「本気じゃなかったら私がたかぼー泣かせてやるんだから!」



ユヅキがジロっと睨みながらそう言うけど、可愛すぎるだろ…

泣かせてやるってどんな方法で?

まさか、色仕掛け?

え、俺それかかりてぇっ!!!



「直ちゃん目がエロイ…」



クイってユヅキに繋がってる腕で肘を押された。

下から俺を見つめるその顔だってめちゃくちゃ可愛くて、あーやべぇ…妄想が止まんない。



「んふふふ、ごめん。その泣かせるの色々想像しちゃった」

「もう。直ちゃんは浮気なんてしたらてっちゃんとえっちなことしちゃうからね〜」

「はっ!?それはダメ!絶対ダメ!!そんなことしてユヅキが抜けだせなくなったら俺嫌だもん!」

「…それはしてみないと分からないけど…。ユヅキは直ちゃんが好きだよ」

「…可愛いからそれ」

「直ちゃんは?ユヅキのこと好きだよね?」

「うん。好き。めっちゃ好き。大好き。すっげぇ大好き…」



自分の想いを言葉にするとその想いはよりいっそうデカクなる気がした。



「ユヅキも好きだよ」

「抱きしめてもいい?」

「だめ!」

「ちぇ〜…」



ちゃんと俺をセーブするユヅキと二人っきりでプリクラ機の中に入った。

屈んでお金を入れるユヅキを待っていたかのようにギュっと抱き締めた。



「わ、ダメ!」

「え、なんで?」

「ダメったら、ダメ!恥ずかしいっ!」

「チュープリは?」

「撮るけど…」

「んじゃ練習…はい、目閉じて?」



緊張して泣きそうな顔のユヅキの頬を優しく撫でる。

そんな俺の手に上から自分の手を重ねるユヅキ。

俺もユヅキもドキドキしてるのが分かって…そっと目を閉じたユヅキを抱き寄せて甘いキスをした―――

砂糖よりも甘くてとろけそうなくらいの…




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