▼ オンリーワン2
岩ちゃんに抱かれた翌日は、いつも腰が痛い。
部屋にきてすぐ抱かれて、一緒にお風呂に入って抱かれて。
寝る前にまたベッドで抱かれて…
昨日は寝る前に二度も抱かれた。
朝シャワーした時も色々攻められて…――
壁に寄りかかるように歩いていたら「なにその格好!?」ポンって後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、同期の敬浩が眩しいくらい爽やかな笑顔を飛ばしている。
「敬浩…おはよ。ちょっと腰が…」
「腰が?え、まさか腰が痛くなるまで抱かれてたとか?」
下ネタ好きな彼の言うのが冗談だって分かってる。
でも図星な私は苦笑いしかできなくて。
「はっ!?図星?」
驚く彼に「まさか!」そう言うけど疑いの目で見られていて。
「あのさ。俺達もうそんな若くもねぇし、身体のこと考えてヤりなよ。彼氏年下?」
「…うん」
ごもっともだよね。
私だって幸せ感じる中、身体の不調も同時に感じていて。
でも岩ちゃんやっぱ若いし、そこで拒否したら嫌われる?なんて思っちゃうわけで。
身体だけで繋がってるわけじゃないけど、信じきれないのは私が二番目だからなのかもしれない。
「ま、俺ならそんな年下の男より一回でえみを満足させる自信ありだけど!」
「もー冗談いいから!」
「後で湿布やるよ。持ってく」
「ありがとう、敬浩!」
「おーじゃあな」
クシャって短い私の髪を撫でると爽やかな香りを残していなくなった。
この会社に来て、初めて私が好きになったのが敬浩。
でも入社当時はそんなことにうつつを抜かしてられない程覚えることだらけで、恋している余裕なんてなかったせいでそれもいつしか消えていった。
あれから数年。
私達も中堅になってきて、ようやく自分の時間も取れるようになってきた。
そんな隙に入ったのが岩ちゃんで。
ダメだと分かっていても、岩ちゃんに抱きしめられると嫌なこと全部忘れられるし、浄化されてる気分になるんだ。
だけど、そんなことを思っていた私に、天罰はちゃんと下されるなんて―――