SHORT U | ナノ

 似たもの同士2

「チャンスって岩ちゃん、どうしたの?」



同期の田崎敬浩の直の後輩である岩ちゃん。

だから敬浩と仲の良い私ともよく絡むわけで。

まさかずっと敬浩と付き合ってるって思われていたんだろうか?



「だって敬浩さんがユヅキは俺の!って言い続けてたんで、そうなのかって思ってましたよ!確かに二人、仲良いし」



缶珈琲をコクコク飲み干す岩ちゃんは、椅子に座ったままストレッチを始めた。



「そんなこと言ってたの?酷いなぁ。私敬浩のものになった覚えも何もないのに……」

「じゃあ単刀直入に聞きます!僕のこと好きですか?」



……好きですか?

好きですか?

はい?

好きに決まってんだろ、おい!



「え、あの…」

「今日僕誕生日なんです。ユヅキさんに祝って貰いたい…」



下から私の手を握って上目遣い。

彼が女で私が男ならこんなシチュエーションはきっと最高で、すぐさまお持ち帰りするだろう。

でも現実はそうはいかない。

彼は年下で私が年上。

女の方が年上ってどうなの?

今やもうそんなことどうでもいいって時代になりつつある。

でもだからってこんなに人気のある子を私如きが独り占めなんて、世間が許さないんじゃないの?



「おめでとう!お誕生日はほかの人に祝って貰ってね!」



サラリと逃げた。

だって無理。

こんなイケメンはべらせられるようないい女だって言いきれない。

自分に自信なんて何も持てないもの。



「待ってください!俺聞きましたよね?好きですか?って、質問に答えてよ、ユヅキさん…」



掴まれた腕に力を込められて見つめあげる瞳は真剣。

岩ちゃんが冗談で言ってるんじゃないと思うけど……



「好きだよ」

「なら問題ない!」



ふわりと彼の腕が私を胸に抱きとめた。


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