▼ 似たもの同士2
「チャンスって岩ちゃん、どうしたの?」
同期の田崎敬浩の直の後輩である岩ちゃん。
だから敬浩と仲の良い私ともよく絡むわけで。
まさかずっと敬浩と付き合ってるって思われていたんだろうか?
「だって敬浩さんがユヅキは俺の!って言い続けてたんで、そうなのかって思ってましたよ!確かに二人、仲良いし」
缶珈琲をコクコク飲み干す岩ちゃんは、椅子に座ったままストレッチを始めた。
「そんなこと言ってたの?酷いなぁ。私敬浩のものになった覚えも何もないのに……」
「じゃあ単刀直入に聞きます!僕のこと好きですか?」
……好きですか?
好きですか?
はい?
好きに決まってんだろ、おい!
「え、あの…」
「今日僕誕生日なんです。ユヅキさんに祝って貰いたい…」
下から私の手を握って上目遣い。
彼が女で私が男ならこんなシチュエーションはきっと最高で、すぐさまお持ち帰りするだろう。
でも現実はそうはいかない。
彼は年下で私が年上。
女の方が年上ってどうなの?
今やもうそんなことどうでもいいって時代になりつつある。
でもだからってこんなに人気のある子を私如きが独り占めなんて、世間が許さないんじゃないの?
「おめでとう!お誕生日はほかの人に祝って貰ってね!」
サラリと逃げた。
だって無理。
こんなイケメンはべらせられるようないい女だって言いきれない。
自分に自信なんて何も持てないもの。
「待ってください!俺聞きましたよね?好きですか?って、質問に答えてよ、ユヅキさん…」
掴まれた腕に力を込められて見つめあげる瞳は真剣。
岩ちゃんが冗談で言ってるんじゃないと思うけど……
「好きだよ」
「なら問題ない!」
ふわりと彼の腕が私を胸に抱きとめた。