SHORT U | ナノ

 6

「…え?」

「ここの人達にも、みんなにも堂々と言いたくて…ユヅキのこと。結構真剣にずっと考えてたんだ…」

「そう、なの?」

「うん。仕事やりずらくなる?」


こんな時にまで私の心配をしてくれるよっくんは、そっと私の手を握った。


「そんなことない…」

「ほんと?」

「うん…」

「じゃあ今夜HIROさんに報告してくる!」


嬉しそうに笑顔を向けるよっくんに、その笑顔はやっぱり私にとって宝物だって思わずにはいられない。


「ユヅキの悩みは…?」

「え?…大丈夫…。悩みなくなっちゃった」


ニコって笑ってみせると、不意によっくんが繋がっている私の手を引き寄せてギュっと抱きしめた。


「よ、よっくん?」

「何でも言ってよ。俺頼りないかもしれないけど…ユヅキのこと大事に思ってる気持ちに嘘はないから…」


さっきゆきみちゃんに言われた言葉を思い出した。

よっくんへの気持ちに誇りを持っていろ…と。

よっくんはちゃんと私への気持ちに誇りを持って大事にしてくれていたんだって…。

それが知れただけで十分で。

誰がどう思おうと、私がよっくんを好きでいる気持ちは私の誇りであって、私が生きる意味なんだって。

負けない。

この気持ちは誰にも負けない―――


「よっくんが好きすぎて…」

「えー?」

「これからもずっと傍にいてもいいんだよね?」

「うん」

「一生?」


私の言葉に髪をフワっと撫でて「そう、一生傍にいるの。覚悟はある?」ちょっと上からそんな言葉。

よっくんらしからぬその顔だったけど、そんなよっくんもありで。


「あります」

「よかった」


嬉しそうに微笑むよっくんの笑顔が、私にとってもハッピーなんだって。

みんなに自慢してやろ、私とよっくんは一生傍にいるんだよ!!って。


「あ、いい笑顔出た」


よっくんの温かい声に、二人で微笑んだ―――。


*END*
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