▼ あたしの夢4
「うざー。もう行こう!」
数人を引き連れてクラスの女子達はそそくさとあたしとケンチくんの前からいなくなった。
途端にドキドキする心臓。
どーしよう顔があげらんない。
「ハルカちゃんだよね?初めましてケンチです。ここんとこずっとノートが入ってなかったから心配で来ちゃった!」
ニコッと目尻を下げて微笑むその顔は写真以上に優しくてかっこいい。
「あのあたし、ごめんなさい。ごめんねこんなダサくて…」
何を言ったらいいのかも分かんなくて俯くとフワリと頬を大きな手で包みこまれる。
ずり落ちそうな眼鏡を指で直してくれて「想像してたハルカちゃんも可愛かったけど、本物のハルカちゃんがやっぱり一番可愛い」ちょっとだけ照れたような笑顔に胸がキュンっとする。
王子様みたい……
「また読ませてよ、続き」
「え?」
「ハルカちゃんの夢、俺も一緒に応援する。だって俺、ハルカちゃんの最初のファンだもん!」
「ケンチくん…」
ニッコリ微笑む大きなその人に、あたしの中のやる気が漲ってくる。
「うん!あたしも、あたしも応援する。ケンチくんがバイクの整備士になること!」
嬉しそうに笑うその笑顔に、あたしも微笑み返した。
「うん、ありがと!あのさ、時間ある?もっと話したいんだけど…」
少し目を泳がせてそう言うケンチくんに、やっぱりあたしはドキドキしちゃって。
「うん、大丈夫!」
あたしの夢、もっと聞いてもらいたいし、ケンチくんの夢、もっと知りたい。
スッとあたしの前に手を差し出すケンチくん。
え?
ポカンとしたままケンチくんを見上げると、ギュッと手を握られて。
「ファミレスでいいよね?」
「……うん」
繋いだ指先からドキドキが伝わってしまいそうで。
でもこのもどかしい感じがすごく嬉しいんだ。
ケンチくん、一緒に夢を叶えようね!
*Happy Birthday to HARUKA*