▼ 優しい15分2
鞄を持ってロッカー前までナオトさんと一緒に歩く。
スーツ姿のナオトさんはいつ見てもかっこよくてスマートでみんなが憧れる気持ちが分かる。
そんなナオトさんガールの中の一人である私も、公にはしてないものの、ナオトさんを想う気持ちは人一倍持っている。
これって、抜けがけ?
いやいや違うよね。
「ユヅキちゃん、一人暮らしだよね?」
「はい」
「帰り寄ってもいい?」
不意に言われた言葉に目を大きく見開いた。
だけど私の反応に、言ったナオトさんが慌てて手を振る。
「あ、そーいう意味じゃなくて!…いやそーいう意味じゃないわけでもないんだけど、なんていうか心配だから…」
いつも冷静で大人ってイメージだけど、こうやって照れたりするんだ!
うわ、可愛い……
私の方が赤くなりそう。
心配してくれてるんだって、単純に嬉しかった。
「ありがとうございます。でもご迷惑かけたくないですし、緊張しちゃうので…」
「迷惑じゃないって!俺が、1人にしたくないんだ。ダメかな、傍にいちゃ?」
……誤解を招くようなナオトさんの言葉にまた苦笑い。
1人にしたくない、とか。
傍にいちゃだめ、とか……
「ナオトさん嬉しいけど、それ私勘違いしちゃうんで、大丈夫です!」
「ユヅキちゃん、彼氏いるの?」
えっ、話飛んだ!?
見つめるナオトさんは真剣そのもので。
「いません」
「好きな人は?」
はいっ!?
ナオトさん!?
なぜ!?
「あーごめん。分かりづらいよね。好きなんだユヅキちゃんが。だから心配してる。だから傍にいたい……伝わった?」
うん十分に…。