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私もみんなに公言したらそんなこと言われなかった?
相手がよっくんじゃなかったら…―――なんて絶対に考えたくなくて。
誰にどう思われようが私のよっくんへの気持ちは変わらない。
私達の関係を誰にも言わない…って決めたのは2人で。
その時はこれが最善だって思った。
でもそれは間違いだったのかな。
「直人さん珈琲飲む?お昼出るから帰りに買ってくるけど」
「あー飲みたい!」
「分かった!他のメンバーもいるかな?」
三代目が新曲の練習をしているんだっけ。
「いらねぇ、いらねぇ!俺んだけ買ってきてよ」
直人がゆきみちゃんの頭をポスって撫でるだけで何となく周りの空気が甘くなる。
私とよっくんには出せない空気、なの…?
素直に全身で直人を好きだって言えるゆきみちゃんが少し羨ましい。
「ユヅキさん、ご飯行きましょうよ!」
そんなゆきみちゃんが直人と別れて私の所にきた。
顔を見るだけで幸せいっぱいなのが分かって。
「ゆきみちゃんはいいね。直人のこと堂々と好きって言えて…」
「え?ユヅキさん?」
こんなのよくないって分かってるけど止まらなくて。
キョトンとした顔で私を見つめるゆきみちゃん。
「私USAのファンだって言っちゃダメって…」
「…なんで?誰がそんなこと…」
「ガチャのカモになるって、USAなんて言ったら。…ねぇ私、言っちゃダメなのかな?USAの…よっくんが一番好きって言っちゃダメなの?」
悲しそうな顔で泣きそうな顔で私を見ているゆきみちゃん。
首を振って「そんなのあるわけない」震える声が届いた。
顔を上げたゆきみちゃんは真っ赤な瞳を強く見開いていて。
「そんなくだらないこと言う人に、USAさんの魅力が分かるわけないじゃないですか!USAさんの魅力すら気づけない人の言葉なんて、聞く必要ないですっ!!もっと自分の気持ちに誇りを持ってください!USAさんを支えていけるのはユヅキさんしかいないんですよ!」
よっくんを支えていけるのは、私だけ…
よっくんへの気持ちに誇りを持つ…
「ごめんね、その通りだ」
「悔しいです。でも言いたい人には言わせておけばいいんです。ユヅキさんのUSAさんを想う気持ち、私は知ってます。私も直人さんも2人が本物だって思ってます。堂々とUSAさんを好きでい続けてください!」
「ゆきみちゃんありがとう」
そう言いたかったのに泣いて言えない私の後ろ、声をかけたのは紛れもなくよっくんだった。