▼ 今しかない!4
「エリーのばか」
そう言って俺から目を逸らした。
泣きそうな顔のユヅキは、それでもこの距離が恥ずかしいのか顔を赤らめていて。
もうマジ今しかないって思えた。
「俺と付き合って、俺と。ユヅキのことずっと見てきた俺と…」
「………」
逸らしていた視線をあげて俺を見つめるユヅキ。
その目は潤んでいてそれがまた俺の男心をくすぐる。
「ユヅキのこと、すげぇ愛してる…」
初めて伝えた俺の想い。
部活とか友達とかを第一に考えていた俺だけど、ユヅキが他の奴にとられるなんて御免だ。
「エリー…」
「好きだよ、大好き。愛してる…」
「遅い…ずっと待ってたんだから…。断るよ、信五は。だってあたしも、エリーのこと愛してるもん!」
ユヅキが俺の腕の中に飛び込んできた。
そのまま強くユヅキを抱きしめる。
柔らかくて温かいユヅキの温もりに「I Love you」自然と想いも口にでていく。
嬉しそうに笑うユヅキの頬にチュっとキスをすると、目の前のユヅキの瞳が小さく揺れた。
…――キスの相図だよね、これ。
内心めちゃくちゃ緊張しながら俺はゆっくりとユヅキに顔を寄せた。
唇が触れ合う寸前でユヅキの目が閉じられたから、そのまま重ね合わせる…
チュって小さな音が鳴ってすぐに離れた俺達。
「好きだよ」
そう言ってもう一度ユヅキを抱きしめながら唇を重ねた―――
「ンッ…エリィッ…」
舌を絡め取る俺にユヅキの苦しそうな声がしたのは何度もキスをしていた最中。
はぁって吐息交じりに唇を離すと、真っ赤な顔で俺を小さく睨む。
「最初からディープキスされるなんて思わなかった…」
ポカって胸を叩くユヅキ。
「え?ディープキス嫌だった?」
「嫌じゃないけど…。言っとくけどあたし、ファーストキスだからね!」
「いや俺もだよ…」
「はいっ?初めてなのに舌突っ込んだわけ?」
「え?うん…。だって愛情表現でしょ、キスって。ユヅキのこと愛してるから仕方なくない?え、当たり前じゃないの?」
「…もう。恥かしい!」
「え、もっとしようよ、キス」
「…うん」
ちょっと照れてるユヅキの腕を引いて、ベッドの上に二人で座ると、おもむろにキスを続けた―――
こんな幸せな気持ち、ユヅキとしか味わえないよな。
*END*