▼ 抱きしめたい6
【side ユヅキ】
「へぇ〜許しちゃったんだ。偉いじゃん!」
「…偉いのかな…?」
「どうだろね?」
「もう、てっちゃん〜!」
「あはははは、ごめんごめん。まぁでもこれで俺達ももしバレても責められないんじゃない?」
一週間前、臣ちゃんが泣きはらしたこの部屋のソファーにどっぷり座って珈琲を飲むてっちゃん。
大人なてっちゃんはあたし達のことぜーんぶ知った上でこの部屋にいる。
「臣ちゃんだけ責められないってあたし…。あ、ゆきみさん達大丈夫だった?」
ソファーの隣に座ると、コテンって甘えん坊のてっちゃんがあたしの肩に顔を乗せた。
そのまま指をギュっと絡めて手の甲にチュっとキスをくれる。
「直人撃沈。サヤカちゃんに付き纏われて無理くり襲われそうになったりもしたからねぇ直人も。ゆきみにはキツかったんじゃないかな〜って。そこに付け込んじゃったんだよ、登坂はさぁ…」
話しながらギュッ、ギュッっててっちゃんがあたしの指を握ってくれるからこんな話も受け入れられるんだと思う。
臣ちゃんとゆきみさんの付き合いが先なのか、あたしとてっちゃんの付き合いが先なのかは分からないけど…
「臣ちゃんまだ好きかな、ゆきみさんのこと…」
「どうだろねぇ〜。少なくとも、ゆきみは直人しか見てなさそうだけど。そう考えるとやっぱ女のが上手?…ユヅキも俺のこと簡単に捨てちゃう?」
下からあたしを見つめ上げるてっちゃんは不意打ちでチュってキスをする。
「捨てらんない、てっちゃんのこと愛してるもんあたし!」
そのままソファーの上に押し倒す。
笑いながらあたしを受け止めるてっちゃんの上に跨った瞬間、臣ちゃんからのLINE。
【これから家行ってもいい?】
「臣ちゃん疑ってるのかな、あたしのこと…」
「まさか!男なんて単純だから完全に信用しきってるって!俺帰ろうか?」
「やだ、今日はてっちゃんって決めたの!待ってね臣ちゃん断るから」
「あははは、やっぱ女って怖ええな!」
ポンってスマホをラグに投げててっちゃんの上に再び跨った―――。
【今夜は親友宅に泊まるから帰りませ〜ん!明日待ってるね♪】
*END*
Special Thanks Love ASAMI