SHORT U | ナノ

 ピンク色の猫5

「あ、健ちゃん!私と剛典抜けるね!!」

「…へ?」



健二郎さんの家でのクリスマスパーティーの途中だった俺達。

わりとみんな潰れ出してゴロンっと寝ている。

主の健二郎さんは真っ赤になりながらもまだちゃんと起きていて。



「あかん、水浴びな寝そうやわ。抜けるってどないやねん?」

「ああ、お風呂一応流しといた!」

「はぁ?」

「行こう、剛典」

「うん」



キョトンとした顔の健二郎さんを前に、俺は笑顔で健二郎さんに向ってハニカミピースを食らわせてみた。

そんな俺を見て目を大きく見開いた健二郎さんは…



「はぁー!?お前らそうーいうこっちゃ?」

「はい!風呂場借りたんで、すいません!」

「うえええっ!?」



雄たけびをあげる健二郎さんを後ろに、俺達はコートを着て荷物を持つと健二郎さんの家を出た。


まだ駅前のイルミネーションは煌びやかに輝いている。

だけどそれよりも奇麗なもん、見つけた。



「どうする?」



そう聞く俺の腕にしがみ付いているユヅキさん。

ピンク色の頬は相変わらずで、可愛い。



「んー剛典は?」



言葉の誘導は俺の勝ちじゃない?

きっとユヅキさんなら俺に答えを求めてくるって思ったよ。

だからニッコリ笑って言ってやったんだ。



「決まってんじゃん!…俺ん家でリベンジするに!」



一瞬何のこと?って顔をしたユヅキさんだけど、すぐに口端をニッと緩ませた。



「いいよ、うけてたつ!」



俺の腕に絡み付いてそう言った。



「いや場所が悪かったんじゃないかな?健二郎さんの家ってのと、あと風呂場!ベッドの上なら絶対俺が勝つから!」

「場所のせいにしてる剛典が可愛いー」

「ちょっと、そうやって年上ヅラしないでよ!」

「だって年下だもの、剛典は!」



煌びやかなイルミネーションよりも、頬をピンク色に染めたユヅキさんをずっと見てきたいよ。




*END*
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