SHORT U | ナノ

 イニシャルN5



手を繋ぎながら屋上からの階段を降りる。




「俺分かったかも」

「ん?」

「初雪…。何か気分あがって普段言えないようなことも言えたり…いつも以上に可愛く見えたり…ほんの少しそーいうのあるんじゃねぇ?」



なるほど。

初めて落とす雪だから空もそんな魔法をかけてくれているのかも、しれないね。


キュッと腕に抱きついて「いつもより可愛く見えた?」そう聞くと、照れたように笑って「いつも可愛いよ」なんて答えてくれる。


はぁーほんと幸せだなぁ。


そう思って2人で納会フロアに戻ると、私達を見て先輩の哲也さんが目を見開いた。



「何で手繋いでんの?おい直人!」

「えっ!?あ、やべ!」



ジロっと片岡くんを睨む哲也さんは私の直の先輩。

黒木さんと同期でこっちは物凄い仕事の出来る人で。



「あー哲也さんこれはその…」

「お前俺の大事なユヅキちゃんに手出したの?」

「すいません!」



ガバっと頭を下げる片岡くんだけど、黒木さんがそんな私達に近寄ってきて、片岡くんの顔をあげさせた。

優しいとこあんじゃん!


なんて思っていたら、まさかの爆弾発言!!



「直人、唇にユヅキちゃんのグロスついてんぞ!」

「えっ!?マジっすか!?」



慌てて片岡くんが口元を手で隠すけど、そんなことしたらバレちゃう、私達のキスが。


もー絶対黒木さんそれ狙って言ったんでしょ。

爆笑してるもんっ!




「片岡くんこれ以上ここにいたらもっと墓穴掘るよ!片付け行こう!」



私の言葉に「うんうん!」大きく頷くと黒木さんと哲也さんに「すいません!でも俺、ユヅキちゃんマジなんで大事にします!」そう言ってまた私の手を握った。



後ろから哲也さんの「俺は認めねぇ――ぞ、直人!」って声がしたけどそのまま片付けをしに行く私達。




「哲也さん…狙ってたかなぁ、ユヅキちゃんのこと…」



ボソっと不安気に呟いた。

その顔があまりに可愛くて。




「ユヅキは直ちゃんだけだよ安心して」



キュって腕に絡みつくともう半端なく瞳を揺らして「直ちゃんやべぇ!」って叫んだんだ。




「ユヅキちゃんこのまま俺ん家来て?二人でクリスマスやろ?ってももう終わっちゃうけど…」

「うん、やる!直ちゃんと一緒だったら何でもいい!」

「もう可愛いからやめてそれ!」




照れ笑いする片岡くんの頬にチュってキスをすると、ふにゃ〜って頬が緩んだんだ。




「メリークリスマス☆ナオト」






*END*
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