SHORT U | ナノ

 傍にいさせて5

「健ちゃんありがとう…」

「いやええねん…ユヅキがちょっとでも楽なったんやったら戻ったかいがあったわ」




清々しい顔でデスクの上に置いてあったシャンパンをそのまま口に含む。

一口ゴクっと飲んでからどうしてか冷めた目で私を見る。



「なに?」

「いやお前…これラッパ飲みしよってたんな?」

「え、うん。だって一人だし…コップにあけんの面倒だし…」

「全くほんまに大雑把やな〜」



そう言って微かに笑うと、健二郎はもう一口それを口に含んだ。

そのまま飲み込むことなく私の首に手をかけて顔を寄せる。


チュってキスと同時に生温いシャンパンが口の中に入り込んできた。

ゴクっと飲み込むと、それを待っていたであろう健二郎の舌が私の口内に入り込んできて…


何度も何度も舌を絡ませて…温もりを感じる。


キスだけでこれほどまでに身体が熱くなるなんて知らなかったよ。




不意に健二郎の舌が私の口から出て首筋に移動した。


途端にゾクゾクする身体に目を開けるとちょっとだけ困った健二郎の瞳があって。




「健ちゃん?」

「あかん…我慢ができんくなる…ここ会社やで…」

「そうだね…」

「…ま、ええか!やるか、ここで!」



そう言ってシャツに手をかける健二郎。

何だか可笑しくて。


笑う私を見てフワリと健二郎も微笑んだんだ。




「好きやで…ユヅキ」

「…だよね、やっぱそうだよね。私のこと好きなんだよね、健ちゃんって」

「いやせんやろ!惚れた女以外にこんなん、普通せんやろ!」

「よかった。私も…きっともっと好きになる。だからずっと傍にいて?」

「ああ、いたる。飽きるほどずっとユヅキだけ愛したる…」

「ふふ、かっこいいよ」

「…やろ!」




ニカって白い歯を見せて笑う健二郎がシャツを脱ぎ捨てたら、可愛いポニョがそこにいたなんて―――





メリークリスマス☆健二郎。





*END*
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