SHORT U | ナノ

 オトナ女子にMerry Christmas4

「あったかい…亜嵐…」

「こんなに冷えて…俺スマホ調子悪くて代替えだったから連絡取れなくて。待ち合わせの場所にユヅキさんいねぇし、でも絶対に俺のこと置いて帰るわけないって思って必死で行きそうな場所探したんっすよ!!」



バーってマシンガンのように話す亜嵐。

だけど何だか噛み合ってないっていうか。



「亜嵐?こっちで待ってろって会社のPCからメールしたよね?」



私の言葉に一瞬キョトンとした顔で「してないっすよ」即答する。




「なんだ、だからか…。1件だけ挨拶してから行くから表参道ヒルズで待ってて!って亜嵐のPCからメール来たから…」

「なんだよそれ、俺じゃないし!またあいつらかよ、最悪…。ずっと黙ってるなんて俺にはやっぱできないっす!」

「…へ?」

「哲也さんに相談したら、言っても分かんない奴らはすきに言わせとけ!って。俺が何か言ったら余計にユヅキさんが嫌がらせされるからって…。だからずっと黙ってました、ユヅキさんが色々言われてるの知ってて。けどやっぱ無理!好きな女のこと悪く言われて黙ってられるほど俺、大人じゃないっす!!」



確かに哲也の言うことはあってる。


私のせいで彼女達に言い返すというのなら、逆上されかねない。


だから哲也の考え方は至って大人の対応だなって…


そしてそれは私がその辺の女よりも我慢強いって哲也がきっと分かっているから。


でも私、本当はそんなに強くなんてないよ。




「俺の前でこれ以上何も我慢しないでくださいユヅキさん。そんなに強くいないでくださいよ。もっとその心ん中、俺に見せてよ…ちゃんと守るから俺が。あなたを守るから!」

「亜嵐…」



嬉しくて、泣きそう。


胸の奥がキュッて締め付けられる。


こんな素敵な言葉、彼から貰ってもいいのだろうか?


こんな私みたいな年増な女が…



「俺を、男として見てください」



私をギュッと抱きしめて耳元で小さくでも、ハッキリとそう言った。


どうしようもなく胸が熱く高鳴る。


亜嵐の両頬を手の平で包み込んで言ってあげた。



「もうずっと見てる。私亜嵐のこと、イヤらしい目でしか見てない!」



思わず出た本音に、キョトンとした亜嵐の顔が次の瞬間崩れた。


綺麗な顔を崩して爆笑している。



「え、ちょっと、そんなに笑う?」

「当たり前っすよ!イヤらしい目でしか見てない!なんて俺、初めて言われましたよ!」

「…だってホントだもん」

「それって見せてくれるんですよね、ユヅキさんの全部。そーいうことでしょ?」



口端を緩めて私の腰に腕をかけるとコツってオデコをくっつけた。


ド至近距離で見つめる亜嵐はすごく綺麗でかっこよくて、可愛い。


どの言葉も亜嵐に当てはまると思う私は、そうとう亜嵐が大好きで。




「今日イヴよ亜嵐。愚問だよその質問!じゃなきゃ最初から誘わない」

「言っときますけど俺、年下ですけど男なんでそこ我慢しませんから!いきなり寸前でNOとか無しっすよ?…ユヅキさんのこと好きになっちゃったんで、責任とって貰いますから!」



年下でいつも可愛いのに、少しだけ余裕の表情で私の唇に何の迷いもなくキスを落とす亜嵐に、初めて強烈な男の匂いを感じた。


露チューが許されるのは20代前半までじゃないっ!?


そう頭では思っていても身体も心も止められなくて。


通行人の皆様ごめんなさいっ、ババアだけど許してくださいっ!


そう思ったのはほんの数秒だった。


唇を食べる勢いでキスを繰り返す亜嵐からは妖艶な色気しか見えなくて。


ギュッと亜嵐の腕に思いっきり絡みつく私達は、寒いことも忘れて夢中でキスを繰り返した。


誰にどんな風に思われようと、私と亜嵐の気持ちが一緒ならきっと乗り越えていけるんだって…




「メリークリスマスユヅキさん。…愛してるよ!」





*END*
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