▼ オトナ女子にMerry Christmas3
クリスマス・イヴの今日、亜嵐との待ち合わせは原宿神宮前。
その日は社内で一度も亜嵐と接触を持たなかった。
そしてきっとみんな私達の恋の行方に構っている暇なんてないだろうって。
待ち合わせ場所に向かう途中で携帯にメールが入って。
――1件だけ挨拶してから行きます!時間は間に合うと思いますが、表参道ヒルズの近くだからそっちで待っててください!亜嵐。――
会社のPCからわざわざ私のスマホに送られてきたメールだった。
きっと仕事しながら送ったんだなって思うとちょっと可愛くて。
ルンルン気分で表参道ヒルズに向かったんだ。
白いLEDを見ながら亜嵐を待っていると私の前をどんどんカップル達が通り過ぎて行く。
それはもうみんな幸せそうで。
早く亜嵐の顔が見たいって思いながらも私は壁に寄りかかってその時を待っていた。
―――だけど、待てど待てど亜嵐の姿はここに現れなくて。
待ち合わせは7時。
時計の針は8時を超えている。
ああそっか、騙されてたんだ私。
今頃気づくなんて。
ちょっと手握られて調子にのった罰が当たったんだ。
やっぱり6歳の差は埋められるわけないんだって。
「馬鹿みたい…」
悔しくて涙もでない。
自分が惨めで空しくて、動けないじゃん。
一歩踏み出そうとしても寒くて身体が固まっちゃってて、足が棒みたいで動けなくて…
街行くカップルも人も誰もここに私がいることに気づかない。
まるで置物みたいに私の前を通過していく。
「痛い…」
さすがに私も、心も身体も折れそうだった。
帰らなきゃって思うのにどうにも動けなくて…。
――そんな時だった。
「うわ、本当に待ってるよ!バッカじゃないの!!」
聞こえた声に視線を向けると、いつも罵声を浴びせる若い子達が少し離れた場所にいて。
私を指差して嘲笑っているように見える。
面倒くさい…そう思って無視して通り過ぎようと思うけど、まだ足が痛くて動けなくて。
どうしよう…
「自分にあった人見つけてほしいよね〜。本当いい迷惑!」
だからそれ、何で貴様らが言うかな…
本当面倒くさい!
小さく溜息を零したんだ。
「ユヅキさんっ!?もうやっと見つけた!ここにいたんだ!!」
あっちの彼女達に気づくことなく私の腕を掴んだのは…――逢いたくて仕方のなかった亜嵐。
「亜嵐どうして?」
「はい?何言ってんの?俺がどれだけ探したと思ってんですか、もう!」
そう言った亜嵐は私を掴んでいる腕で引き寄せて、そのままフワリと私を抱きしめた。
その温もりが温かくてそっと目を閉じる。