もしかして、押し倒された、とか…。ドキドキしながら続きを待つ。淳也はきっと俺を睨むように見ると、叫んだ。

「あいつ…鼻で笑いやがったんだ!」
「えっ?」

 鼻で笑った…?
 淳也に対して鼻で笑う場面は良く見かけるが、何をそんなに怒っているのだろう。

「えーと…何で?」
「目玉焼きに醤油をかけるなんて有り得ねえって言いやがったんだよ」

 ……えー。どうでもいい。すごくどうでもいい。でも譲れない何かがあるんだろう。淳也がこういうことに対してこんなに怒るのは珍しいし。

「それで喧嘩したのか?」
「ああ」
「会長は何派だって?」
「ソース」

 忌々しげに呟いて淳也は目を鋭くする。

「別に、ソースが悪いって言ってんじゃねえんだ。ただ俺は、醤油をかけることを馬鹿にされたのが腹立ってんだよ」
「なるほどねえ…」

 この様子だと、会長が謝らないと駄目そうだな。それにしてもさっき顔を赤くしていたのは怒っていただけだったのか、なんだ。ちょっと残念でこっそり溜息を吐く・ 
 俺は苦笑を浮かべ、何か飲もうと立ち上がった。

「淳也、お茶でいい?」
「ああ、――悪いな」

 その日結局淳也が会長のところへ行くこともなく、その逆もなかった。ちなみに二人が仲直りしたのは一週間後のことで、漸く二人の機嫌が直ったと学園中が安堵したのだった。












fin.


淳「ちなみにお前は……あ、やっぱりいいわ」
翔「……どうせ俺は少数派だよ」
淳「少数派っていうか、他に翔太と同じものかける奴いる調味料なのか…?」
翔「…………」



私も醤油派です。
卵系は全部醤油をかけます。たこ焼きも醤油です。




15/05/05