(side:翔太)

 あれ、と首を傾げる。部屋に戻ってきたら靴があった。今日は淳也は遅くなる、と言っていたはずだけど。

「淳也ー?」

 俺は靴を脱いで呼び掛ける。返事はない。もう一度げ、首を傾げる。

「淳也、いるのかー?」

 あ。いた。ソファに横になっている。目を瞑っているのので寝ているのかと思ったが、眉間に深く刻まれていた皺がピクリと一瞬反応した。起きているのかもしれない。

「淳也、会長は……」
「ああ?」

 俺は怒気の含んだ声に苦笑する。会長関係で、何かあったんだろう。喧嘩でもしたかな……二人とも、頑固というか素直にならないタイプだし。

「どうしたんだよ」

 苦笑混じりで訊ねると、淳也は起き上がった。そして溜息を吐いて舌打ちをする。

「別に、どうもしねえよ」
「どうもしないようには見えないけど…」

 淳也は俺を見て、もう一度溜息を吐いた。話す気になったらしい。俺は向かいに座って、淳也を見つめる。

「まあ…翔太も分かってるだろうけど、直人と言い合いになってな」

 むすっとした顔のまま話す。俺は無言で頷いて先を促す。

「あいつ……許せねえ」
「え、何かされたのか……?」
「俺の…」

 その瞬間、かっと淳也の顔が赤くなる。俺は驚いて目を見開いた。な、なんだ……?

15/05/04