「一体いつから…」
「最近だ」

 恥ずかしいのか、早口になる淳也。それを笑みを浮かべながら眺め、「付き合ったのは、な」と即座に訂正した。紫炎はまだ信じられないような顔で、数回瞬く。そしてはっと何かに気づいた。直人が先程から不機嫌なのは、もしかして自分のせいかと今更ながらに思ったのだ。

「わ、私は中村くんのことそういう目で見ていませんからね!」

 慌てて否定するが、直人はちらりと一瞥して終わった。これには少しばかり同情する明だったが、同情より呆れの感情の方が強かった。そして漸く淳也の手に携帯を戻す。
 淳也は結局何だったのかと携帯を眺める。アドレス帳が開いており、画面には久賀直人と表示されていた。淳也は目を丸くして顔を上げる。

「これ…」
「連絡先交換しておいた」

 ふん、と鼻を鳴らして淳也を睨み付ける。

「俺だけ知らねえってのは気に食わねえからな」

 淳也は何となく理解した。いきなりこんなことを言い出したのは、先程届いたメールが原因だと。何らかの方法で紫炎とメールをしていることが分かり、それに怒っているのだろうと。
 呆れもしたが、それと同じくらい喜びの感情があった。嫉妬されているようで気分が良かった。

「毎日連絡していいからな」
「しねえよ」
「は? しろよ」
「誰がするか」

 するかと言いつつ口元が少し緩んでいる淳也。それを見てニヤニヤと笑う直人。完全に空気な存在の明と紫炎。明は痛みを感じてきた頭を押さえて、再度思った。
 だからそういうのはよそでやってくれ、と。









fin.

THE・KY・紫炎。
空音のストレスが日々上昇。




15/04/26