少々青ざめている紫炎に向かって言い放つ。
「ああ、俺と中村は付き合ってる」
唖然とする紫炎はぎぎぎと音を立てて首を淳也に向けた。ばつが悪そうな顔をして、小さく頷く。
「会長は翔太くんが好きなのでは…」
淳也は思わず視線を直人に向ける。直人はがしがしと髪を掻いて溜息を吐いた。
「好きの意味がちげえんだよ」
「俺が抱きてえと思うのは、こいつだけだ」そう言ってぐいっと淳也の腕を引っ張る。油断していた淳也は抵抗する暇なく直人に抱き寄せられた。そのまま唇にキスを落とすと、自信満々な笑みで紫炎を見た。ばっちり見てしまった明は再び思った。よそでやれ、と。
「な…」
「なにしてんだテメェ!」淳也は顔を赤くして怒る。それは淳也を良く知らない者であれば悲鳴を上げるほど怖い顔であったが、直人からしてみたら照れている顔にしか見えない。
「またしてやろうか?」
「死ねよマジで!」
ニヤニヤとした顔が酷く憎たらしい。
完全に紫炎と明の存在を忘れていた淳也だったが、ふと口をぽかんと開けている紫炎と目が合って消えたくなった。
15/04/25
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