なんと言えばいいか分からず黙っていると、中村がこっちを睨むように見た。

「ここ数日はあんまり翔太と話してねえが、そんな風には見えなかった」

 視線に促されるようにそう言えば、間髪を容れず返ってきた。「そう装っているだけだったら」
 俺は眉を顰めた。そうだとしても、どうにもならねえだろうが。俺は翔太と付き合うことはできない。仮に付き合ったとしても翔太も俺も幸せにはならないだろう。…中村もな。

「お前、まだ気にしてんのか」
「…そういうわけじゃない。ただ、時々不安になるだけだ。やっぱり翔太の方がいいんじゃないかってな」

 ゆらりと瞳を揺らした中村の頭をぐしゃりと撫でる。無言で俺を見つめる中村の唇を見ながら、口角を上げた。少し開いた口が可愛らしい。

「なめんな。俺が何年想い続けてたと思ってんだよ。もし不安になったらいつでも俺に言え。何度でも安心させてやるから」

 囁くように言えば、中村が目を見開いてパッと俯いた。しかし隠れきれていない耳が赤く染まっていて、押し倒したい衝動に駆られた。今そんなことしたら殴られるだろうからしねえけど。ま、これくらいなら許されるだろうと中村を抱きしめる。ぴくりと一瞬だけ反応したが、抵抗されなかったことに少し安心した。
 やっぱり俺は、こいつに頼られる存在になりてえな、と改めて思った。











fin.

会長視点はなんだか書きにくかったです(笑)
心の中では結構可愛いなあとか思ってます。



15/04/20