(side:日向)

「宜しかったんですか」

 淳ちゃんが帰った後、脱力してベッドに寝転んでいると、よしちゃんがちょっと眉を下げて、俺を見た。

「うん、俺、淳ちゃんが大好きだからさ、幸せになってもらいたい。…今まで、迷惑ばっかりかけてたからね」
「そうですか…」
「それに」
「え?」

 俺は会長の顔を思い浮かべる。会長のことは一度だけ見たことがある。尤も、あれが会長だったって知ったのは先日だけど。淳ちゃんは多分まだ気づいていない。

「会長に比べて俺は何も頑張ってないから…」

 よしちゃんは何も言わなかった。重くなった空気を払うように笑みを浮かべる。

「まあ、会長にちょっと淳ちゃん預けるだけだし! 淳ちゃんをメロメロにしてみせるよ俺は!」

 くすりと笑ってくれて、空気も柔らかくなった。ほんと、俺の親衛隊にはもったいないくらいの子だよね、よしちゃんって。可愛いし。俺が無事なのもよしちゃんたちが頑張ってくれてるおかげだから感謝してる。

「それで、いつから休学するんですか?」
「明日からだよ」
「あっ」

 「明日、から?」目を見開いて俺を見るよしちゃんが面白くて噴き出した。