暫く話をしたりゲームをしたりしていると、携帯が震えた。手元のコントローラーを操作しながらちらりと見る。そしてごとりとコントローラーを落とした。

「あ、おい、何やってんだよ」

 幹太の言葉に何も答えず、携帯を手に取る。電話がかかってきていた。発信者は――日向だ。幹太が、おい、と再び呟いて俺を見る。そして手元に視線を落として、顔を歪めた。

「……出ねーの?」
「…あ、ああ。出る」

 「出んのかよ」幹太が横で不満そうな声を出す。俺は息を小さく吐いて、電話に出た。

『もしもし〜』
「…日向、どうした?」
『淳ちゃんの部屋に行ったらさあ、淳ちゃんいなかったから。どこにいるの? 何時ごろに帰ってくる?』
「俺の部屋に? 一人で来たんじゃないだろうな…」
『よしちゃんに付いてきて貰ったよ』
「そうか…一人よりはマシだが、芳名は危ないだろ」
『大丈夫大丈夫。…それで?』

 俺は幹太を見る。むすっとした顔で俺を見ていた幹太は、戸惑いの表情を浮かべる。日向は俺のことを好きで、俺と付き合っていて……。だから、幹太と一緒にいるとか、泊まるとか言わない方がいいだろう。

「今日は帰らねえ」
『……なんで』

 なんでと言われても。どうしようかと迷っていると、ばっと携帯を奪われる。あ、と思った時には、もう幹太が喋り始めていた。

「お前、電話してくんな。……は? ああ、そうだよ。俺ん家に泊まらせる。あ、ぜってー来るなよ! ……は、え? 何言って……は?」

 幹太の目が見開かれる。そのまま凝視され、嫌な予感がした。……余計なこと言ってないだろうな。
 呆然としたまま携帯を耳から離す幹太。携帯を見ると、通話終了と表示されていた。

「……お前、戸叶と付き合ってるって、マジかよ…!?」

 嫌な予感が的中してしまった。日向、お前何言っちゃってんだよ……! ここは学園内じゃねえんだぞ!