う、うまい…!
 あまおうジュースもだったけど、これは更に美味しい。一つ、また一つと口にしたところで、先輩たちからニコニコ見つめられているのに気づき、手を止めた。

「あれ? もう食べないんか?」

 何故か残念そうに言われ、俺は微妙な顔で頷いた。……このままじゃ食って終わるぞ。もっと先輩たちの関係とか諸々訊きたいことあるのに。

「あの、質問いいですか?」
「お? なになに?」
「先輩たちって――」

 その時だった。俺の鞄から音が鳴ったのは。俺はハッとして鞄を見る。この音は、携帯だ。ど、どうしよう…。メールかもしれないけど。

「電話? 出ていーぜ」
「す、すみません」

 謝って鞄を開けると、メールではなく、先輩の言うとおり電話だった。しかし、俺は出るのを躊躇った。

「でねーの?」
「いやあ、あはは…」

 夏木、と表示された携帯を苦笑いで見つめる。あいつ、普段電話しないくせに何でこんなときだけ…。

「あの、すみません、外で…」
「えー? ここで話しなよ」
「うん、俺たち気にしないぜ」

 いや、俺が気にするよ! しかし、早くと視線で促され、俺は仕方なくそのままボタンを押した。とりあえず夏木にキレないように気を付けよう…。

「……もしもし」
『あきら、ひま』
「…俺は暇じゃない」
『なあ、どこいんの? おまえもきてよ』
「来てよって、夏木、お前今どこにいるの」

 なんだか、がやがやと煩い。俺は眉を顰めて、夏木に問うた。…その時、甲高い声が耳に入る。…まさか。

『いま合コンしてる』
「やっぱりか! お前、何度も言ったけど! どうして一人で参加するんだよ! 誘えよ!」

 思わず叫んでから、ハッとする。先輩たちを見ると、ぽかんとした顔で俺を見ていた。顔が引き攣る。夏木、お前ホント覚えてろよ…!?

13/08/07