明日また訊いてみるか、という言葉でこの話題は終了している。――明日、ということは。俺はチラリと日付を見る。一昨日だ。がっくりと肩を落とす。
 いや、待て。これすらも演技という可能性がある。俺が気付いたことにこいつらも気づいて、誤魔化そうとしたか…。俺は暫し画面を見つめて、右上のバツを押した。そして今度は新着メッセージを開く。リョウたちの名前の中に、一つだけ知らないアドレスから送られてきている。…こいつら以外には教えていないはずなのに。気味が悪くなってゴミ箱に――送ろうとしたが、誤って開いてしまった。

「……っ!」

 俺は声にならない悲鳴を上げる。


FTOM:shyrdfn@×××……
SUB:匿名希望


見つけた。


「……な、」

 なんだこれ、と漏らした声は惨めなほど震えていた。見つけた、って…誰なんだ、一体。
 俺は急いでメッセージを閉じてゴミ箱に入れる。ガタガタと震える手を押さえて、歯を食いしばった。
 俺はアドレスを教えていない。分かりやすいアドレスでもない。…ということは、これを送ったのは…。

「あいつらの中の…誰か」

 がり、と唇を噛んだ。



 気がついたら朝になっていた。ベッドで寝ていたということは、無意識のうちに移動していたのだろうか。昨日のことが夢であればいいのに、と思う。しかし、ぴりっと唇に走った痛みにあのことが現実だというのを思い出させる。

「おはよーごぜーます」
「っ…うをああああああ!?」

 なななななんだ!?
 バクバクと脈打つ心臓をそのままに急いで顔を上げると、無表情でこっちを見ている男がいた。……あ、ああ、的場、だったか、確か。安心して息を吐く――って、いやいやいや。

「何で俺の部屋に…っ!」
「おせーんで勝手に入りました」

 いや、勝手に入るなよ…。顔を引き攣らせながら的場を見て、遅いという言葉に首を傾げる。

「遅いって?」
「学校です」
「え」
「学校です」

 え?