※未成年の喫煙は法律で禁止されています!

(side:吉原)

 岡崎くんとの通話を切り、直ぐに通話記録を消す。ネットに繋いでブックマークから良く利用するファッション雑誌のサイトを開いた。丁度その時尚史が戻ってきて、緊張で顔が少し強ばる。

「――いい加減に、隠してること教えやがれ。殴られてーの?」

 イライラとした様子で俺を睨む。どうやら相当ご機嫌斜めらしい。俺が喋らないってのもあるけど、ここに来る前何かあったのかもしれない。俺はなるべく刺激しないように笑みを浮かべた。

「いや、ほんと、なにもないんだって」
「嘘吐けよ。――テメェ、嘘吐くとき目泳いでんだよ」
「えっ!?」

 驚いて思わず顔を押さえた。そんなことしても目が泳いでるなんて分かるはずがない。え、え、俺、目泳いでんの、まじで? どうしようという言葉が頭の中で木霊した。尚史はにやりと笑う。

「嘘だよばーか」
「なっ!」

 何だって――!
 自分のアホさ加減を呪った。引っかかった俺を見てニヤニヤする尚史。……尚史に、会いたくないって岡崎くんは言ってた。俺だって会わせたくねー。尚史のこと嫌いじゃないけど、また岡崎くんに酷いことするってぇなら、絶対に阻止しなければ。

「…げ」

 尚史はポケットを漁った後、眉を顰めた。不機嫌なままの顔でこっちを向く。

「火、持ってね?」
「あー、うん。持ってんよ」
「寄越せ」

 俺は偉そうに手を差し出す尚史に溜息を吐いて、ライターを投げた。俺のコントロールが悪いというわけではないが、軌道の少しズレたそれを尚史は難なくキャッチする。煙草を銜えて火を点ける尚史を横目で見て、俺も吸おうかなと考える。しかし、ポケットから箱を取り出す前に手を止める。…岡崎くんは、煙草吸う奴嫌いかな…。

「…吸わねえの?」

 尚史がライターをポイッと投げ捨てると訝しげな表情をした。…そのポイ捨てされたライター俺のなんだけど…。ちゃんと返せよ…ったく。

「……あぁ、なるほど。惚れた奴が煙嫌いってか?」
「えっ!」

 ドキっと心臓が跳ねる。いやいやいや、惚れた!? いや、惚れてねーし! 岡崎くん男だし!

「ち、ちが、違うし!」
「ふーん、お前にねぇ」

 慌てて否定するも、尚史は人の話を全く聞いてなかった。