※未成年の飲酒喫煙は法律で禁止されています。また、暴力表現有りなのでご注意くだい。


「面白いことやってんじゃねえか」
「……あ?」
「俺たちも混ぜてくれねー?」

 ニヤニヤと笑みを浮かべて近づいてきた奴らをギロリと睨む。すると、奴らの顔が途端に歪む。

「…んだよその顔」
「あ、こいつもしかして立花高校の夕凪じゃね?」
「だったら何だよ…うぜぇ」

 溜息を吐くと、更に顔を歪める奴ら。全く怖くないどころか、キモい。顔が残念な奴ってのはどんな顔しても残念だな。しかも見たところ強そうには見えない。つーか、集団でいる時点で小物臭がする。哀れだ。

「あぁ!?」
「ちょっと強いからっていい気になってんなよ?」
「その酷い顔を更に酷い顔にしたいのかよ」

 ニヤ、と笑うと、顔を真っ赤にし、俺に飛びかかってきた。




 弱すぎて数十秒で片付いてしまった。あんだけ人数いてあれとは、弱いにも程があんだろ。…しかし、煙草を持っていたのは良かったな。買う必要がなくなった。
 煙草の件はいいが、まだ暴れ足りない。気晴らしに吉原でも殴ろうと思って電話を掛ける。コールが何度も続き、チッと舌打ちをする。学校に行く気にはならない。イライラしながらコール音を聞いていると、やっと電話が繋がる。

『もしもし』
「殴らせろ」
『いきなり何!? 嫌だよ!』
「うっせえ」
『はぁ…今どこにいんの?』
「あ? …あー、学校の近く?」
『近くなら学校来いよ……あ、いや、なんでもない』

 ハッと息を飲む音がしたかと思うと、慌てた様子で来るなと言う吉原。……こりゃ、何かを隠してやがるな? 俺に知られたくない何かを。

「気が変わった。今から行くわ』
『はあ!? 何で!?』
「なんでもいいだろうが」
『や、ちょっと、おま――』

 ブチ、と電話を切る。学校に何があるのか知らねえが、あいつを揶揄うネタにはなるだろ。少し気分がよくなった俺は、ゴロゴロと転がっている奴らの体を蹴り飛ばして裏路地を出た。