※会長と副会長が淳也たちの教室から戻ってきた時の空音視点です。

(side:明)

 授業を欠席してまで仕事をしていた昼下がり、邪魔が入ってしまった。
 俺は目の前で憤慨している美人な男――一応副会長という役職を務めているが、現在仕事を放棄して好きな奴に感けている――を白けた目で見つめた。

「貴方があんな不良と付き合いがあるとは知りませんでしたよ。あの不良の所為で僕が恥をかくなんて…」

 そりゃお前が仕事してないからだろ。俺もあいつも事実を言ったまでだ。つか、授業のあっている教室にまで押しかけるなんて、非常識過ぎだろう。迷惑かかるってのも理解してないし、何より自分の影響力を分かっているのか? 今ここにはいないが、会長もいい加減にしろと思う。仕事はしてるけど何考えているか全然分からないし、。副会長が惚れている転入生にちょっかいかけているのは噂とかで知ってるけど、本気なのかそうでないのか。転入生は淳也の友達ってくらいだから、悪い奴ではないんだろうけど、転入生の所為で副会長が無能になったのだから、あまり良い印象は持てない。

「聞いているんですか!」
「…そこで喚いてるくらいなら仕事したらどうでしょうか、副会長」

 こんな尊敬する価値も何もないクズに敬語なんて使いたくないが、仮にも年上だからな。
 ジロ、と睨むと副会長のお綺麗な顔がぐしゃりと歪んだ。何で当たり前のことを言っただけなのにこうも睨まれなきゃなんないのかね。はあと溜息を吐くと、それが気に食わなかったのか副会長が更に顔を般若みたいにして口を開く。

「――おい、騒がしいぞ雨谷」
「く、久賀…」

 会長がダルそうなオーラを纏いながら生徒会室に入ってくる。会長は俺のデスクの前で突っ立っている副会長を侮蔑の目で一瞥して自分の席へと向かう。

「……何故、あの時黙って…」

 会長席に座った会長を睨みながら声を絞り出すように出す。別に揉めんのはいいけど、いい加減自分の席戻ってくんねーかな、こいつ。
 黙っていたってのは、淳也がお前仕事してねえだろ的なことを言ったっていう時のことか? いや、だって会長仕事してるじゃん。態々それを仕事してないって言うか?

「あぁ、さっきは無様だったなあ、雨谷?」

 鼻で笑った会長にカッと目を見開いて顔を赤くすると、早足で生徒会室から出て行って――いやいやいや! おい、何で出て行く! 仕事しろよテメェェェェエ!