「じゃ、自己紹介も済んだ所で活動の内容を簡潔に説明する。菓子を食べて感想を言い合う。――これだけだ」
「へ? そ、それだけっすか?」

 呆然としたような声でアキが呟くと、ガル以外の奴はそうだそうだと言わんばかりに頷いた。

「おう。つか、他にどんなことやると思ってたんだよ」

 笑いながらそう言う。何も答えが返ってこなかった辺り、他に思いつかなかったんだろう。

「でも、感想って…。それなら、食べるだけでいいんじゃ…」

 マコが消えそうな声で言って、俯いていた顔を上げた。……その面マジで一瞬ビビるんだけど。今度何でそれをチョイスしたのか訊いてみっかな…。

「食べるだけってなぁ…。それじゃつまんねえだろ。黙々と食べてても楽しくねえじゃん?」
「分かる分かる! 何やケェさんめっちゃ話合う気がするわぁ! そんでそんで!?」

 ニャッキが体を乗り出す。話合うのはまあいいけど、お前そのテンションどうにか何ねえのか。とりあえずもっと声を小さくしてくれ。隣のマコとかめちゃくちゃ体震わせてたぞ。

「だから、各自今嵌ってる菓子とか、お勧めの奴とか持ってきて、色々食べる。誰かと交換してもいいし、自分で食べても良い。そこらへんは割と自由でいいから」
「でも人それぞれ好みとかありますよね。洋菓子以外無理とか、甘すぎる物が苦手で匂いさえも無理とか…」
「あー…。そうだな、確かにその通りだ。じゃあ今のうちに訊いとくか。これだけは無理っつーもんは?」

 俺は何でも食べれるので、そこらへんを考えておくのを忘れていた。

「……オイ」

 隣で十夜が溜息交じりに呟いた。うっせえ、お前だって考えてなかっただろうが。……これは完璧八つ当たりか。十夜は俺に付き合ってくれてるだけだからな。

「俺は何でも食べれるでー」

 ニャッキが手をひらひらさせながら発言する。…こいつ、マジで俺とかなり話合うかもしれない。さっきもショートケーキが好きっつってたしな。俺も一番ではないにしろショートケーキは結構上位に入る。

「あ…ぼ、僕は粒餡が苦手で…」
「粒餡か」

 俺は脳内にメモをする。マコは粒餡が苦手、…と。マコの次に手を軽く挙げたのはアキだった。

「俺はコーヒーゼリーが…。後は大丈夫です」
「……モナカ」

 アキはコーヒーゼリー、キコはモナカ。脳内メモに付き足して、まだ発言していないガルに視線を向ける。机の上に足を乗せて行儀悪く座っているガルは、一度愛らしい面をこちらに向けたかと思うと、首を傾げた。

「何の話?」

 ……あ、聞いてなかったんすね、ははは……じゃねーよ! 何で聞いてねえんだよ!