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「あっちゃん、はっきり言ってもいい?」
「……え、何?」

 食事も終わり、ゆっくりとしていた時だった。向かいに座っている兄貴が頬杖をついて俺をじっと見つめた。俺は眉を顰めて兄貴を見つめ返す。

「あっちゃんの服って、ダサい」

 例えそれが事実であろうが、そんなにはっきりと言われると傷つくんですけど。

「……そ、そっか」

 実際安物のティーシャツとジーパン、あとチェックのシャツに頼っているし、兄貴は身内の贔屓目を抜いてもお洒落なので、俺は返す言葉もなかった。

「うん、だから、今日はバイトもないし、あっちゃんの服を見に行こう」
「……えっ、いや」

 いいです、と断ろうとした俺の言葉を遮って、兄貴はそうしよう、と口にして意気揚々と立ち上がったのだった。







 兄貴に強制的に外出させられた俺。本当に俺の服を選ぶつもりらしい。

「これとかどう?」

 持ってきたのは、革のジャケットだった。……だから、これは俺には着こなせないって。自分の服を選ぶセンスはあるのに、人のはないのだろうか? ……いや、兄貴がなんでも似合うからだなきっと。自問自答を終え、俺はふいに外に視線を向けた。


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