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……まあ、加治の立場が悪くなったり変な目で見られたりするだけだ。男の手なんか掴んで何が楽しいのか、鼻唄を歌っている。加治の考えていることは前から分からなかったが、元勇者で、俺が元魔王だということを知っていると分かった時から更に分からなくなったような。
「……お前さ、俺のことほんとに知らなかったみたいだけど、他のやつはどうなの」
「えっ?」
「部下とか……」
加治はぼそぼそと呟く。
「まあ……一応」
「……へえー」
加治は振り返り、不満そうな声を上げる。俺はどういう反応をすればいいか分からず、無言で見つめ返す。
「…ま、別にいいけどさ」
加治はそう言うが、顔も声のトーンもまったく別にいいと思っていなさそうだ。
「な、なんかごめん」
俺はなんだか申し訳なくなって、謝罪する。加治はぴたりと立ち止まる。俺はぶつかりそうになり慌てて足を止める。
「何が悪いのかわかってないのに謝んなよ」
余計に気に障ったようだった。俺はもう一度ごめんと謝る。加治はぱっと手を放し頭を叩かれる。
「もう謝んなって」
そして再び俺の手首を掴み、歩き始めた。俺はむずむずとした気持ちで叩かれた頭を押さえた。
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