▼ 9
というか、そんな顔をするくらいなら俺に関わるな。そう思ったのが顔に出ていたのか、クラスメイトは舌打ちする。
「お前――」
「相原、何してんの?」
相原と呼ばれた男は急に声をかけられ、大袈裟なほど肩を跳ねさせた。俺はその声に気分が良くなかったのが更に地に落ちる。対して相原は安心したように顔を緩め、振り向いた。
「加治か、びびったー」
「おはよう」
「はよ、……や、こいつが俺の邪魔してきてさ」
おい。……誰がいつお前の邪魔をしたんだ。適当なこと言いやがって。俺はこっそりと相原を睨んだ。
「ふーん…? こいつのことはさ、俺に任せといてよ」
「え、でも…」
「早く行かないと今度遅刻したら反省文じゃなかったっけ?」
加治はにこりと笑って相原の肩を叩いた。
「あ、やべ!」
途端に慌てた様子になると、相原は「あとは宜しく!」と言って片手を挙げ走っていった。そして取り残される俺と加治。……俺も走って逃げればよかった。
「さてと」
加治は人好きのする笑みから悪魔の笑みに変え、俺にそれを向けた。
[ prev / next ]
[back]