7

 俺は目を開ける。朝だ。朝がやってきてしまった。カーテンから漏れる眩しい日射しに俺はぐっと顔を顰める。一睡もできなかった。
 こんこん、とドアがノックされ俺はそっちに目を向ける。

「おーい、あっちゃん、起きてる?」
「起きてる」

 ドアが音を立てて開いた。ひょこっと顔を出したのは四つ上の兄だった。兄貴は俺の顔を見てぎょっとする。

「ど、どーした!? 隈凄いけど!」
「え、あー……」

 やばい。心配させてしまう。俺は苦笑を浮かべた。

「なんか眠れなくて」
「…悩み事でもあるのか?」

 しまった。結局心配させてしまった。俺は慌てて首を振る。

「別にそういうわけじゃない」
「……そうか?」

 尚も心配そうに見つめてくる兄貴に大きく頷き、用件を促す。

「そういえば、何か用だった?」
「いや、あっちゃん今日は中々起きてこないなって思って来ただけだよ」

 俺は時間を確認し、あっと声を上げてベッドから降りる。いつも起きる時間より十分も過ぎていた。


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