▼ 7
俺は目を開ける。朝だ。朝がやってきてしまった。カーテンから漏れる眩しい日射しに俺はぐっと顔を顰める。一睡もできなかった。
こんこん、とドアがノックされ俺はそっちに目を向ける。
「おーい、あっちゃん、起きてる?」
「起きてる」
ドアが音を立てて開いた。ひょこっと顔を出したのは四つ上の兄だった。兄貴は俺の顔を見てぎょっとする。
「ど、どーした!? 隈凄いけど!」
「え、あー……」
やばい。心配させてしまう。俺は苦笑を浮かべた。
「なんか眠れなくて」
「…悩み事でもあるのか?」
しまった。結局心配させてしまった。俺は慌てて首を振る。
「別にそういうわけじゃない」
「……そうか?」
尚も心配そうに見つめてくる兄貴に大きく頷き、用件を促す。
「そういえば、何か用だった?」
「いや、あっちゃん今日は中々起きてこないなって思って来ただけだよ」
俺は時間を確認し、あっと声を上げてベッドから降りる。いつも起きる時間より十分も過ぎていた。
[ prev / next ]
[back]