24

「ごめん、俺白川の気持ちには応えられない。やっぱり黛が好きなんだ」

 以前みたいに、何でもかんでも許せるほど好きというわけではないけど、このまま付き合いたいと思うくらいには好きだ。

「…そっか」

 白川は眉を下げ、静かに呟く。罪悪感が俺を襲った。どうしようもないことだが、白川のことは友人として好きだし胸が痛くなる。
 ちらりと黛に目を向けると、むすりとしていた。当たり前だが申し訳ないとは思っていないらしい。

「残念だな、僕の方が幸せにできると思ったのに」
「あ?」

 白川の言葉に黛がすぐに反応する。

「黛くんは宇津木くんを幸せにできない――今までだってできなかったでしょ?」

 黛は舌打ちし、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。慌てて否定しようと思って口を開くが、俺が喋る前に黛が言葉を発する。

「こいつを幸せにできるのは俺だけだ」

 はっきりと言い放つその姿に、俺は目が離せなかった。


[ prev / next ]



[back]