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「もっと早く言えば良かった…」

 ぽろぽろと涙を流す。黛はまったくだと呆れたように呟く。本当にもっと早く言っていればと後悔する。そうすれば擦れ違うこともなかったというのに。

「…つーか、お前もっと色々求めてきてもいいんじゃねえの」
「えっ…」

 俺は目を見開き、黛を見上げる。まさか黛からそう言って貰えるとは思わなかった。

「じゃ、じゃあ…キス、したい」

 黛は不意打ちをくらったように目を丸くし、眉を顰め少し顔を赤くする。

「目、瞑れ」

 俺は静かに目を閉じた。黛の顔が近づいて俺たちは付き合って初めてキスをした。










「えっ?」
「いや、まあ、そういう感じでおさまりまして」
「ええ……まじか」

 黛との会話の流れをざっと説明すると、月島は驚きを隠せない様子で俺を見た。

「なんか、想像つかねーな」
「俺もビックリした」
「ま、良かったな」

 月島の言葉に頷き、俺は笑みを浮かべた。

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