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あれから数日が経った。俺はまだ黛と話すどころか、会うことすらできずにいた。会って何を言われるか分からないし、そもそも必修科目が今までなかったので、会わずにいたというわけだ。――つまり、会うときは必修科目がある日ということで、それが今日だということだ。
「行きたくねえ…」
「でも教授出席見るだろ。お前が試験でいい点とれる自信あるなら別にいいけど」
「……無理」
「大丈夫だって。あいつサボること多いじゃん。今日も来ないかもしれないだろ」
「そうかなー…」
俺が帰らなくなって、どうしているかは分からないが、掃除とかそういうことで怒るために来そうな気もする。…まあ、でも単位を落とすのはまずい。行って講義が終わったらすぐに帰ろう。幸い、俺は目立つような容姿をしていないし、見つかる可能性はそこまで高くない。――まだ気持ちの整理が出来ていないのだ。だから、会いたくない。
「ほら、行くぞー」
「あっ、ちょっと待って!」
俺はもう行く準備が整っている月島に制止の声を上げ、慌てて用意を済ませた。
「あ」
「あ」
俺と目の前の人物は同じタイミングで同じ言葉を発する。隣の月島は片手を挙げた。
「よ、白川」
「おはよう」
にこりと白川が笑みを浮かべる。白川に会うのも久しぶりだ。何度か誘われたものの、全て断っていたので気まずい。目線を下に向けていると、白川が俺に声をかけてきた。
「宇津木くん、久しぶりだね」
「あ、ああ…」
ちらりと白川の様子を窺う。白川は困ったように笑った。
「もしかして、僕避けられてる?」
ぎくりと体が強張った。
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