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「……鍵かけられたらもう入れねーぞ」
「ですねぇ……」
「講義だって俺が見せてやれるやつはいいけど、それ以外どうすんだ」
「な、なんとかやるよ。…教科書要らないやつもあるし」
「……金貸すから、ちゃんと返せよ」
「も、勿論!」

 お願いします、と両手を合わせる。涙目で訴えかけると、月島は溜息を吐いた。

「分かった。…でも、時間を置いたらちゃんと話し合った方がいいぞ」
「……うん、それも、分かってる。このままじゃ月島にも迷惑かかるし」
「ま、俺はいいけどさ……それより」
「ん?」
「このこと、白川にも言うわけ?」
「あ」

 俺の口から間抜けな声が出る。

「言わないつもりでいたけど、言った方が良いかな…」
「白川を受け入れるつもりがあるなら言っても良いんじゃね?」
「とりあえず、話すとても黛とちゃんと話してからにするよ」
「そーだな、それが良い」

 月島はベッドを一瞥した後、俺に視線を向ける。月島の言いたいことを瞬時に理解した俺は、びしっと片手を挙げる。

「俺は床で寝ます!」
「悪いな。あ、でも時々代わろうぜ。床で寝続けたら疲れとれないだろ」
「月島……お前、本当に良いやつだな」
「お、今更気づいた?」

 にいっと笑う月島。何でノンケでも、月島じゃなくて黛に惚れてしまったんだろう――なんてことを、月島と笑いながら考えた。

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