6

 黛が女を部屋に入れた翌日。俺は白川の家にいた。というのも、初めて白川の部屋に行った時に忘れ物をしたからだ。白川から連絡があり、こうして取りに来た訳だけど…。

「あのー、白川…」
「うん?」
「そろそろ帰ろうと思うんだけど…」
「え、まだいいでしょ?」

 ゆっくりしていってよ、と笑う白川に俺は苦笑いを返す。この調子で、中々帰して貰えない。
 それにしても、やっぱり白川って黛とは全然違うなぁ…。こんないい男が俺みたいな奴を好きだなんて、ほんと信じられない。

「ん? 何、じっと見つめて」
「いや、何でもない」

 ぱっと視線を外す。って、ちょっと感じ悪かったかな……。

「そう?」

 白川は気にした様子もなくそう言うと、立ち上がった。

「お茶しかないけど、飲む?」
「いや、俺はもう帰――」
「飲む?」
「…いただきます」

 にっこりと笑ってるのに、迫力がある。俺は顔を引き攣らせて頷いた。

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