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 月島と別れ、俺はスマホに視線を落としながら大学を出る。とりあえず断ったものの、じゃあまた今度ね、と言われてしまった。……穏やかだが中々手強いかもしれない。
 俺は視界の端に見慣れた姿を見つけ立ち止まる。

「……黛」

 今日は講義がなかったはず…。何してるんだろうと黛を追って――どくりと心臓が嫌な音を立てる。隣には親しげに腕を組む女の姿。黛は無表情だが嫌がる素振りは見せていない。
 足の力が抜け、その場にしゃがむ。やっぱり、黛は変わっていない。……俺が白川といて、嫉妬してくれたかもなんてちょっと期待したけど、そんなそとなかった。あれはただ……自分のものがとられそうになって怒っただけなのだ。

「……はは」

 涙がぽろりと流れる。俺は乾いた笑みを浮かべた。







 分かっていたことだ。白川がいようといまいと、俺と黛の関係は変わらない。俺は溜息を吐きながら鍵を開け、家に入る。こんなことなら、白川と遊びに行けば良かった。月島も誘ってなら問題ないだろうし。
 今日は夕飯要らないのかな。あの女とずっといるのかな。あー、だめだ、もやもやとしてきた。気分転換にゲームでもするかなぁ。

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