11

 しーん、と静まり返る部屋。俺は不安になって、恐る恐る顔を上げる。顔を真っ赤にした白川が目に入り、ぎょっとする。

「え、し、白川」
「いや、あの、好きって言ってくれたから……本当? 僕のこと、好き? ――付き合ってくれる?」

 こくりと頷くと、白川は真っ赤な顔のまま、満面の笑みを浮かべた。その笑顔のせいなのか、真っ赤なのが伝染したせいか、俺の顔は再び熱を持つ。

「嬉しい。夢じゃないよね?」

 なんてことを言いながら、自分の頬をつねる。本当にやるやついるんだ、それ。俺は何だか白川が可愛く思えてくすりと笑った。

「可愛い」
「えっ」

 もしかして俺口に出してた!? 驚いて口を覆うと、白川は俺の目をじっと見つめて笑う。

「宇津木くんって笑うと可愛いよね。あ、笑わなくても十分可愛いんだけど、更にっていうか」

 口に出したわけじゃないらしいが、白川の口から恥ずかしい言葉が出てきた。

「や、可愛くないって」
「好きな子の顔を可愛くないなんて思わないやついないよ」

 う。そう言われると。確かに俺だって白川の顔が格好いいと常に思ってるし。

「ね、キスしてもいいかな?」
「いきなり!?」
「嫌だった?」

 しゅん、と落ち込む白川。

「い、嫌なんてことあるわけない!」

 慌てて否定して、あ、と俺は間抜けな声を上げた。

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