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大学の講義室に着くと、高校からの友人である月島が俺に気づき手を挙げた。
「よ」
「おはよ」
「おはよう、月島くん」
俺の後ろから白川が顔を出し、にこりと笑う。月島はきょとんと目を丸くした。
「ん、ああ。えーと、白川くん? もしかして宇津木と一緒に来た感じ?」
「…昨日泊めて貰ったんだ。俺酔っぱらって…」
「へえ、そりゃあ白川くん、こいつが世話になったね。でも宇津木、家に帰らないなんて初めてじゃない? ……あいつ、大丈夫なの」
最後の言葉だけこそっと俺に訊ねてくる。月島は俺が宇津木のことを好きで、付き合っていることも、扱いも知っている。白川と同じようにあいつは止めろとずっと言ってくるが、俺が止める気がないのに呆れたのか、もうあまり言わなくなった。
「…大丈夫だろ、あいつは」
「ふーん、ま、そうか。…ってか座れば? 白川くんもここ座りなよ」
月島は奥に詰めると、席を示した。白川は目を自分を指さし、首を傾げた。
「僕もいいの?」
「勿論」
「ありがとう」
俺の隣に座る白川は上機嫌だ。そんなに嬉しそうにされると、俺が恥ずかしくなってくる。
「…つーか、またあいつサボり?」
あいつ、とは黛のことだろう。俺はそっと周りを見回す。確かに黛の姿はない。
「家にもいなかったし、どっかで遊んでんのかも」
「あいつ単位取る気あんのかよ」
「まあ別にどうでもいいけど」月島は刺々しい声で言うと、頬杖をついた。仮にも俺の恋人だというのに、流石月島。容赦ない。
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