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白川の家から俺の家まで、大体十分ぐらいだった。俺の家から大学は五分くらいなので、少し遠いくらいだが、ここら辺のアパートの中でも近い方だ。
「じゃあごめん、ちょっと待っててくれ」
「うん、まだ時間あるしゆっくりで良いからね」
部屋に入れたいところだが、もしかしたら黛がいるかもしれない。確かあいつも午前中は講義を入れていなかったはずだ。……まあ、ブラブラして家にいないことの方が多いけど。まあ念のためだ。自分は好き勝手部屋に入れるくせに俺が誰かを呼ぶのは気にくわないらしいから。
俺は鍵を開けて、今更ながらにドキドキとした。……いたら、なんて言おう。どういう反応するのが正しいか分からない。俺は恐る恐る部屋に入る。靴はない。ほっと息を吐いた。どうやらいないらしい。
靴を脱ぎ、奥へ向かう。荷物が転がっている。どうやらあの後一回は家に返ってきたらしい。女が入った形跡はないから、ホテルでも行ったか。
黛の荷物を整えて隅に起き、リュックに今日の講義で使う教科書やプリントを詰め込む。そして背負うと、部屋を出た。しっかりと鍵をかけて、壁に背を預けてスマホを扱っている白川に声をかけた。
「ごめん、おまたせ」
「ううん、じゃあ行こう」
白川はスマホを仕舞うとにこりと俺に笑いかけて歩き出す。俺はその隣に並び、エレベーターに乗ってマンションを後にした。
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