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「ありがとう」
「いいえ。僕のこともっと知ってほしいし、眠くないから話そうよ」
「う、うん」

 優しく笑いかけられ、どきりとする。動揺したのを誤魔化すようにお茶を飲んだ。確かに先程は俺が愚痴を言ってばかりで、白川は相槌を打ったり俺を慰めてくれたりして、白川自身の話は聞いていない。

「……白川は、どうして俺ことを? 俺は黛みたいに顔が整ってる訳じゃないのに…」
「んーと、黛くんに引っ付いてるきみを見てるうちにさ、なんか…可愛く思っちゃって。冷たくあしらわれてしょんぼりしたり、小さなことで喜んだり、きみって結構表情豊かだよね」
「も、もうやめて…」

 恥ずかしくなって俯く。あまりにも小さな声に白川がくすりと笑ったのが聞こえた。

「まあ、僕がきみのこと好きってこと知ってて。軽い気持ちじゃないってこともね」
「……ああ」







 結局、それから数時間話し続けた俺たち。気がつけば外が明るくなっていた。俺も白川も昼から必修の講義があるので、シャワーを浴び、俺の家に寄ってから一緒に行くことになった。
 黛には何も連絡してないけど、大丈夫だよな。だってあいつは俺のことなんて何も気にしちゃいないし。

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